夜、NHKの大河ドラマの「西郷どん」を何となく見ていましたら、(時折見ているだけなので)奄美大島に彼は流されて生活していて、キャスト全員の熱気溢れる演技に胸が熱くなりました。特に二階堂ふみさんが輝いていました。見終わってから・・・田中一村を思い出しました。(たなか いっそん)は1908年に生まれ、若い時から日本画壇で注目されていましたが、50才のときに東京での生活の全てを投げ打って、奄美大島に渡り、2年間を大島紬の染色工として働き、1年間は最高の画材で絵を描く、そして又2年間、働くという生活を続け数々の傑作を生み出しました。
1977年69才で亡くなりました。
生前、これらの傑作は発表する機会がないまま、近年やっと注目されるようになりました。
わたしも大分以前にNHKの「日曜美術館」を見て彼の存在を知りました。数年後、大阪のデパ-トで回顧展があり実物を観る機会を得ました。
今年7月から8月までパリのユネスコ関係の場所で展示会が催されるとの事です。
奄美での生活から生み出された作品は、美しさに溢れ、まるで植物園の中にある温室で体感するような何とも言えないノスタルジックな湿気とムァとする包み込むような熱気さえ感じます。真実の美というと「何の事や?」と反問されそうですが・・つまりは感動!の一言に尽きます。
誰も頼らず、最高の画材と時間を得る為に2年を労働に費やす事を繰り返した晩年。
彼の画業は華開き、誰にも看取られずに目を閉じる時、所願満足であったと私は思います。