いつ頃からなのか、よく解りませんが、フランスやイギリスあたりで日本の襤褸(らんる)の着物や夜具が ア-ト として一部の芸術愛好家が注目するようになったみたいです。
そういった方々、又はバイヤ-が日本を訪れ購入する事に依り、物によっては数十万の値が付いています。
親しい方に聞いたのですが、以前は買い付けに行った際、物置や蔵にある大きな木箱の底に、そのような布が敷いてあったが勿論、手に取るどころか目もくれなかった!と言われていました。
ところが昨今は、このボロい着物や夜具を目当てに方々を探すらしいです。
骨董市で「これは、おいくらですか?」と尋ねますと素人らしき私に「これは高いよ!」が第一声です。
そして「近頃はボロ布も入りにくくなったんやわ」とおっしゃる。
昨年、ボロのたつけ(農作業で穿く細いパンツ)と上着を解いて一枚のジャケットを制作しました。
たつけの下部分が継ぎあてられ荒い刺し子が施された箇所をジャケットの両袖布に使用しています。
様々な藍染め布で補修された2枚のボロは貧しい生活から生まれたものですが、観る側にとってはジャパンブル-のグラデ-ションが、爽快さ として映ります。
今春、制作した2作目のボロジャケットです。
この布も、たつけと呼ばれる細いパンツを前身頃に使用、袖や後ろ身頃は同時代の藍染め布を使用しています。
ボロ布は今やBOROという国際用語になっています。
美意識は人それぞれ異なります。
大昔から人々は美しいものを求めて作り出してきました。
美しい物を求める余裕など無かった人々から生み出された「究極の用の美」
物が溢れ使い捨て時代といわれる中に生きる私達に何かを語っているのかもしれません。
BOROの物達を沢山観ていますと、相当凄みがありまして、やはりしんどくなってきます。
自分が素敵やな・・・と感じるボロ布で楽しく制作してゆこうと思っています。