1999年に製作された NHKドラマです。
今年の5月に再放送されました。午後7時半からの放送 なんと270分(3部作)でした。見終わったのは夜半12時前。こんなに長時間映像を観たのは人生で初めての事。
主演の松たか子は当時22歳。なさぬ仲の女の子役は井上真央ちゃん。
大正3年から昭和11年迄の出来事です。
主人公の喜和は16歳で、ひとめぼれした岩伍の妻になる。
数年後 岩伍は紹介所の店主になるのだが、この商売は地方の貧しい娘を花街に送り出す仲買人。
喜和はどんなに努力しても、この商売を生業にする夫を受け入れる事が出来なくなる。
一人息子が幼くして病死した直後に、夫は愛人との間に生まれた赤ん坊の母親役を喜和に託す。
赤ん坊を受け入れずにいた彼女だが、数日後には母になる覚悟を決めて以来 幼子の綾子の養育に心血を注ぐようになっていく。
仕事と称して家人を顧みない夫。夫婦の確執が増す中で、喜和の綾子への愛情は増してゆく。
月日は流れ 綾子が女学校に上がる目前に、岩伍は母娘を母屋の片隅の部屋に押し込める形で追いやる。
「狭い部屋でもお母ちゃんと一緒なら大丈夫」(真央ちゃんの大きな瞳 名演技でした)
「お前が俺から綾子を引き裂いた!」と母に怒鳴る父に、綾子はハサミ?で切り付けかかる。(記憶違いかもしれないが)
この時 喜和は初めて自分が綾子に注いだ愛情の所以に気付くのである。
そして、母は娘を父の元に返し、新しい旅立ちを決意する。
ザーとこの様なストーリーです。
この長編ドラマを観た時からブログに書きたいと思っていました。
喜和が注いだ綾子への愛情とは・・・?
やがて成長する綾子が生父を反目していくであろう。その姿が彼女の「仕返し」になる。
物語ではこの様な直接表現は無かったのですが、私はそう受け止めました。
綾子が父に刃を向けた瞬間は、彼女が自らの過ちに気付いた刻であったのでしょう。
そして、妻、養母etc 様々な柵から自分を解きはらし、偽りの無い人生を送って行こう。と
小さく揺れる舟に乗りこみ、櫂(かい)を漕ぎだした物語です。
松たか子さんは立派に演じ切っていて、感動の270分でした。